抱いてセニョリータ

抱いて
抱いて
抱いて…

強く
強く
強く…

離さないで…



「修二〜」
と、後方からドラマの役名で呼ばれた。
誰かは大体予想がつく。

振り向こうとした次の瞬間
「修二ってばっvV」
と、背中に飛び付いてきた。
「うわっι」
まさか飛び付いてくるなんて思わなかった俺は物凄い叫声をあげ、前方に転んでしまった。

「ってぇ…ι」
「修二く〜ん、ちゃんと受け止めてよ〜」
俺が痛がっているというのに、山Pは
「それとも、俺の愛が重かった?v」
なんてハシャいでいる。
「山P…どうでもイイから降りてくんね?ι」
少しウンザリしながら山Pを退かす。
「だって、修二くん可愛いんだもん♪」
「いや、意味分かんねーし…ι」
汚れた服を叩きながら立ち上がり、山Pに手を差し出す。
「ほら、いつまでも座ってないで」
「ありがとうv」
かなりご機嫌に俺の手を掴むとスッと立ち上がった。
「それより、どうした?」
そう、山Pは此処にはいないはず…(ちゃんとチェック済み)。
「んー、近く来たから寄ってみたv」
と、俺に抱き付いて来た。
「あっ、おいっ、何して…ι」
誰かに見られたら…と気が気でない。
「修二くん温かぁいvV」
「やっ、山P誰か来たら…ι」
「大丈夫だっちゃ☆適当に誤魔化す☆」
「いや、誤魔化せねーだろι」
勿論、この発言は無視された。
「修二くんは恥ずかしがり屋さんだっちゃ☆」
「それ、何か違うからι」
「もぉ、なんか冷たぁい」
ぷぅと頬を膨らませる山P。
この可愛さは反則だと俺は頭を抱えた。

「暫く暇?」
突然、真顔で山Pに尋ねられた。
「ん?」
と、聞き返すと
「ひーまーでーすーかー?」
と、ちょっと怒ったように再度尋ねてきた。
「まぁ、暇だけど…」
幸いというか、何というか…次の撮影まで大分時間が開いていた。
「じゃあ、決まり☆ラブホ行こう!」
はい、出た。
この人たまに突拍子もないことを人を無視して云うのだから恐い…。
「あぁ…ラブホね。はいはい。えぇぇぇっ、らららら…ラブホ!?」
あまりにも、サラリと云ったものだから気づかなかったが、この人何云ってんの!?
「うん、ラブホ☆」
にこぉっと山Pが微笑む。
「や…ちょっ…まっ…ι」
「なーに?v」
と、可愛く首を傾げ、俺の顔を覗き込む。
「マズいってι」
「修二くんは美味しいのよーん☆」
「いや、そうじゃなくて…ιって、ドサクサに紛れて何云ってんだよ!!ι」
「あはは☆」
すっかり山Pのペースにハマってしまった。
こうなったら最後。
山Pの隙を突いて逃げるしかない…(結局)。
「はぁ…ι」
殆ど無意識の内に溜め息が漏れた。
「修二くんは、俺のこと嫌い?」
シュンと俯き泣きそうな表情。
「ちがっ…」
演技とは分かっていても、抱き締めてしまう。
「好きだよ…///」
「じゃぁ、シよv」
「…ι」
「ぷっ、ふははは」
突然、壊れたように笑いだす山P。
「な、何?ι」
「亀梨かわいーv」
ケラケラと腹を抱え笑う山P。
「あー苦しい」
「…ι」
「ゴメン、ゴメン。亀の反応可愛いから、つい遊んじゃった☆」
「それひでーι」
「あはは☆」


結局、俺は山Pにからかわれていたようだ。

あぁっ、なんか悔しい!

あなたのその唇がじれったいのよ。


なんちゃって☆