サワレナイ
「ニノ?ニノ〜?」
誰かが耳元で俺の名前を呼ぶ。
「ん…」
ゆっくりとまぶたを開く。
「ニノ〜。良かった…中々目ぇ覚まさないから心配したんだよ」
そこには本当に心配そうにリーダーがしゃがみ込んでいた。
「あ…俺…」
少しずつ意識がハッキリしてくる。
コンサートの練習中、俺は倒れたんだ…。
「焦る気持ちは分かるけど、無理しちゃダメだよ。ニノはドラマもあるんだし…」
そう云うとリーダーはそっと俺の手を握った。
「ゴメン」
掠れた声で俺はそれだけ呟いた。
「なんで謝るの?」
意外そうにリーダーが俺の顔を覗きこむ。
「だって…俺…迷惑かけたんだよ?」
凄く居た堪れなくなって今にも泣き出しそうだ…。
「う〜ん…迷惑って云うより心配したよ。だって…中々目ぇ覚まさないんだもん」
相当心配していたのだろう。ホントに俺が目を覚ましたことが嬉しいらしく、笑顔が絶えない。
リーダーはそっと手を差し伸べてくれ、俺が起きるのを手伝ってくれる。
「アリガト」
この優しさが嬉しかった。
倒れて良かったなんてバチ当たりなことすら考えたりもした。
「ホントに大丈夫?」
「うん、もう大丈夫だよ」
リーダーが優しく微笑んでくれる。
「リーダーっ、リーダーっ!!!」
ほのぼのとした空気は相葉ちゃんのけたたましい叫び声で壊されてしまった。
「どうした?」
リーダーが慌てて相葉ちゃんの所まで駆けていく。
…いつもそうだ。俺がリーダーといると相葉ちゃんが邪魔をする。
「あのね、ココがよく分かんないんだけど…」
と踊りを確認し始める。
「そこは…」
二人を見るのが嫌になって俺はフと横に視線をずらした。
「ニノ、もう大丈夫か?」
いつのまにか翔くんが隣に立っていた。
俺が倒れている間も必死で練習していたのだろう、物凄く汗をかいている。
「うん、大丈夫」
「そっか。今が大事な時なんだから、休むときはちゃんと休めよ」
ポンポンと俺の頭を叩く。
「分かってるって」
軽く翔くんの手を退けながら俺は笑った。
「オアツイですな〜」
後ろから松潤が冷やかす。
「倒れたからって人が心配してるってのに、元気そうじゃん。あぁ〜、損したっ」
ニヤニヤと意地悪そうな笑みを浮べる。
「あのさ〜、そう云う事って思ってても云わないんだよ?」
「え〜、そうなの?」
アハハと本当に楽しそうに笑う。
「さ〜、練習再開しようか?」
リーダーの声で皆それぞれの立ち位置につく。
「ニノ、無理するなよ」
リーダーが心配そうに声をかけて来た。
「分かってる。もう大丈夫だよ」
にっこりと微笑んでヒラヒラと手を振った。
サワレナイ/「ARASHI No.1〜嵐は嵐を呼ぶ〜 」収録曲